まずは設計図を書くところから開始です。
いつものように、A4のコピー用紙にざくっとしたものを書きます。
今回製作するジオラマのタイトルは、
『週末の我が家~赴任先からの帰宅』
にしました。
今回主役となるトヨタ・マークⅡですが、このクルマを父が乗っていた当時、
父は単身赴任をしていたため、金曜日の深夜に帰宅し、
日曜日の夜に赴任先へ戻るという生活をしていました。
既に定年退職しており、その後もしばらくこのクルマに乗っていましたが、
赴任期間中は、ずっとこのトヨタ・マークⅡに乗っていたため、
父のトヨタ・マークⅡレガリア = 父の単身赴任
のイメージがすっかりこびりついています。
ということで、今回のJZX90 トヨタ・マークⅡのジオラマのタイトルは
『週末の我が家~赴任先からの帰宅』
がぴったりじゃないかと思ったんです。
設計図を基に壁となるプラバンを切り出します。
実家のプラモデルがあるはずもありませんので(笑)
完全フルスクラッチでの製作です。
プラバンは、タミヤの1.2mmのものを使用しました。
余談ですが、最近インターネットで探してもこの1.2mmのプラバンが売っていません。
もしかしてタミヤは、この厚さの生産を止めてしまったのかもしれません。
1.2mmのプラバンは、曲がらずにしっかり直立してくれて、
かつ、厚過ぎないため、切り出しも比較的楽に作業が進められるので
ジオラマ製作には重宝していました。
もし生産停止してしまっていたらちょっとショックだなぁ。
田舎の家ですので、無駄に広く、「離れ」と呼ばれる別棟もありますが、
アオシマのJZX90 トヨタ・マークⅡは1/24ですから、
今回のジオラマで全てを再現するのは
サイズ的にちょっと厳しいので、
いつも父がクルマを置いていた、門から玄関の周辺に
ポイントを絞って製作することにしました。
プラバンの切り出しが終わったら、構造部分の組み立てです。
玄関の枠など細い部分には、プラバンの切り端を
ライターで炙って曲げたもので
補強しながら接着をしていきます。
接着剤は、場所にもよりますが、ほとんどの部分を瞬間接着剤を使用します。
(白く濁ってもどうせ塗装してしまいますから、ケチらずにしっかりした量を使用して頑丈にします。)
実家の構造部分ができました。
こうしてみると開口部が意外と多いことがわかります。
耐震基準も旧のものですのでちょっと心配です。
(平家建てですので、2階建てよりは揺れの影響が少ないとは思いますが。)
集中が続いているうちにちょっと面倒な部分を片付けてしまいます。
玄関は格子状の引き違い戸になっていますので、
1mm角プラ棒と2mm角プラ棒を使って格子を作っていきます。
順番が前後していますが、京町家のジオラマも同じ作り方で進めています。
ポイントは格子の長さと間隔がぴったりにいくことですが、
これがなかなか難しいんです。
例えば、正面からは等間隔に見えている格子でも、
横から見るときれいに揃っていないことがあります。
間隔が等しくても、格子の一本一本が前後にずれているとそう見えてしまうんです。
簡単そうにみえるアルミサッシの枠ですが、
実際に作ってみると、一枚一枚のサッシ枠をすべて同じサイズにするのは
手造りである以上かなり困難であることを感じさせられます。
でも、できるだけ丁寧にサッシ枠を製作して狂いの少ないものをつくり、
更に、構造体に組み込む際に工夫をすることを併せて行って補正していくんです。
どうやったら完成度を上げられるかを考えるのもまた楽しいです。
次は「木製のつい立て様の壁」を造ります。
(正式名称がわかりません。下の完成品を見て「ああ、これね。」と思っていただければ幸いです。)
2mmプラバンを切り出します。
切り出したプラバンに、かなり粗い紙やすりで傷を付けます。
ここで使用している紙やすりは60番で、かなり粗いです。
特に60番でなければならない理由はありません。
”粗”ければそれで良しです。
さらにケガキ針で傷を付けます。
紙やすりをかける時もそうですが、
漫然と傷を付けるのではなく、
”木目”っぽくなることを意識しています。
(ってそんなに凄い意識ではないですけれど。)
枠は3mmのABS樹脂丸棒を使用してみました。
この丸棒にも紙やすりとケガキ針で傷を付けています。
これで造形はおしまい。塗装に入ります。
玄関も窓枠も木の壁も、かなりのアイキャッチになりますから
手を抜くわけにはいきません。
きちんとサーフェイサーを吹いて、木目がしっかり出ているかなどを
確認します。もちろん、塗装の下地としての意味もあります。
次に色を付けます。
玄関とアルミサッシはどちらも同じ色です。
実際に近い色はブロンズ色ですので、
茶系とメタリックなシルバーを数色混ぜて色を作りました。
配合比率や使った色は・・・なんとも言い難しです。
実際の実家の写真を見ながら少しずつ、これかなと思った色を混ぜて
徐々に近い色にしていくんです。
軽くつや消しのクリヤを吹いて、メタリック色特有のギラギラ感を押さえました。
「木製のつい立て様の壁」も色を付けていきます。
上下を逆に置いてしまいました。
縦の枠がちょっと出ている方が上です。
この上下の少しばかりの差は、今回のジオラマ『週末の我が家~赴任先からの帰宅』では、とても重要な意味を持つことになります。
どういうことなのかは、だんだん解明されてきますので、後のお楽しみということで。
(楽しんできるのは櫻だけってこともありますね(汗))
塗装完了です。
梅皿(右にある絵皿のことです)にあるように、
ほぼ水彩画のように自由に色を混ぜながら塗装していきます。
タミヤのエナメル塗料を使用しましたが、
梅皿に出した塗料が固まらないように、
適宜うすめ液で溶かしながらの作業です。
建具類がほぼ思ったようにできて調子に乗ってきたところで、
絶対に失敗できない構造部分の壁の作業に入ります。
画像は、400番の紙やすりをかけているところです。
これで、壁材の付きが良くなります。
実家の建物はモルタル塗りの壁ですので、それを表現するために
モデリングーペーストを使用します。
塗料を砂吹きしてゴツゴツした感じにすれば良いかとも考えましたが、
ゴツゴツの凹凸を大きくするのも限界があるので
塗装だけでモルタル塗り風にするのは、ちょっと難しいと思ったからです。
薄い紙をクシャクシャにして貼り付けてから塗装するのはどうかなど、
いろいろ考えましたが、手軽さや仕上がりの良さまでイメージすると
「リキテックス・フレキシブル・モデリングペースト」がベストだと考えました。
ジオラマ製作にあたっては手放せない素材です。
使い方は簡単。こんな風にヘラで適量をすくうように取って・・・
壁部分にドカッとまとめて置いてから、
ヘラで一気にスーッと引きながら、平らにするだけです。
全面に渡り一本の筋も無く塗るのはかなり難しいですが、
今回のようにゴツゴツとしたモルタル塗り風にする時には
あまり気にしないで塗れるのでとても簡単です。
気にすることは大きく2つで、
モデリングペーストを塗っていないところがないようにすることと
塗られたモデリングペーストの量をできるだけ均等にすること
くらいなものです。
全面塗り終わりました。
淵にはみ出ているモデリングペーストがありますが、
モデリングペーストが固まっていない今は気にしないでおきます。
固まらないうちに
この部分を取って均そうとすると
その近くも乱れて、それを均そうとするとさらにその近くが乱れて・・・
というように、結局全面のやり直しにつながる可能性が高いからです。
ここは、固まってからカットするのがベストです。
モデリングペーストがかなり粗く塗られていますが、今回はこれで大丈夫。
だって、この面は次の工程でモルタル塗り風の模様を
直接モデリングペースト自身に付けてしまうんですから。
書道用の不要になった太筆の先でモデリングペーストが塗られた壁を
軽くポンポンと叩くと、アラ不思議、モデリングペーストに
細かい角(つの)がたくさんできていきます。
できあがった側面部分です。
ちょっとビッグスケールですが、モルタル塗りの壁のような
ゴツゴツさを出すことができました。
同じようにポンポンしていくと(笑)
あっという間に全面ができてしまいます。
作業中に間違ってちょこっと面を触ってしまても大丈夫。
その部分をポンポンすれば大抵修正できます。
完全硬化する前にデザインナイフで淵の余計なモデリングペーストをカットします。
リキテックス・モデリングーペーストは72時間で完全硬化すると
説明に書かれていますが、気温や湿度の関係にもよるのだと思いますが、
これまで使ってきたところだと、それ以前に固まることが多いです。
淵のカットをする良いタイミングは、
指で触ってもペーストの角(つの)が潰れなくなった状態から
完全硬化する前までの、まだモデリングペーストが柔らかい状態の時です。
モデリングペーストは、固まるとそれはそれで結構硬いので、
柔らかい時に作業をした方が、カットする時間が短縮でき、
また、カットした部分の仕上がりもきれいになります。